⚡ 停電が長引くときのポータブル電源の選び方

更新: 2026年7月30日

数時間の停電ならモバイルバッテリーと乾電池でしのげます。この記事が扱うのは、復旧まで数日かかりそうなときの話です。東日本大震災では東北電力管内で約450万戸、熊本地震では約47.7万戸が停電しました。こうなると「スマホを充電する」だけでなく、暑さ寒さをしのぐ、食べ物を保つ、といった生活の維持が問題になります。

まず知っておきたい: 発電機との決定的な違い

停電対策というと発電機を思い浮かべる方もいますが、発電機は屋内で絶対に使えません。排気に含まれる一酸化炭素で中毒を起こすためです。東京都の注意喚起では、室内で運転させると10分でも致死濃度に達しうるとされています。経済産業省・消費者庁・NITEも停電のたびに繰り返し警告を出しています。

ポータブル電源は大きな充電池で、燃料を燃やしません。排気が出ないので屋内でも車内でも使えます。停電時に家の中で電気を使いたいなら、選択肢は実質これになります。

容量の目安: 何Whで何ができるか

ポータブル電源の容量は「Wh(ワットアワー)」で表されます。ざっくり言うと「消費電力(W)× 使える時間」です。500Whなら50Wの機器を約10時間動かせる計算になります。

ただし実際には変換ロスがあり、表記容量の8割程度が使える量だと考えておくと外れません。1000Whの製品なら実質800Wh前後です。

1000Wh級(実質800Wh)を家族で使った場合のおおよその目安です。

  • スマホの充電(1回約15Wh): 40回以上。4人家族が毎日1回ずつ充電しても10日分に相当します。
  • 扇風機(約30W): 20時間以上。夏の停電で最も効くうちの一つです。
  • 電気毛布(約50W): 15時間前後。冬の車中泊や在宅避難で体温を守れます。
  • ノートパソコン(1回約50Wh): 15回前後。
  • 小型冷蔵庫(平均40W前後): 15〜20時間。ただし起動時に大きな電力を要求するので、後述の「定格出力」を必ず確認してください。

4人家族が数日をしのぐなら1000Wh前後が現実的なラインです。300Wh台はスマホと照明で手一杯になり、2000Wh級は20万円を超えて入口としては重くなります。

容量(Wh)だけで選ばない: 定格出力(W)も見る

ここを見落とすと「容量は足りているのに動かない」が起こります。容量Whがどれだけ長く使えるかを表すのに対し、定格出力Wはどれだけ強い機器を動かせるかを表します。

電気ケトルや電子レンジは1000W以上を要求するため、定格出力300Wの製品では容量が余っていても動きません。冷蔵庫やエアコンは起動の瞬間だけ定格の数倍の電力を必要とします。家電を動かしたいなら、その家電の消費電力表示を見て、定格出力に余裕のある製品を選んでください。

電池の種類: リン酸鉄リチウムかどうか

防災用途ではリン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)を採用した製品が向いています。従来の三元系に比べて充放電を繰り返せる回数が桁違いに多く、熱にも強いためです。

防災用のポータブル電源は使わない期間が長いのが特徴です。買って押し入れに入れたまま数年、ということが普通に起こります。寿命の長い電池を選んでおくと、いざというときに「膨らんで使えない」を避けられます。

ソーラーパネルが要るのはどんなときか

ポータブル電源は充電しておかないと使えません。そして停電中は充電できません。ここがモバイルバッテリーと同じ弱点です。

ソーラーパネルが効くのは次の場合です。

  • 復旧の見込みが数日以上と発表されている、または見込みが立っていない。
  • 車が使えない、またはガソリンが手に入らない(大規模災害では給油待ちの行列が発生します)。
  • 在宅避難や車中泊が長引き、電源を繰り返し使いたい。

逆に、復旧が1〜2日と分かっているならパネルは要りません。本体を満充電にしておけば足ります。まず本体、必要になったらパネルという順番で考えるのが無駄がありません。

パネルは本体と同じメーカーで揃えるのが確実です。端子の形状や電圧の相性があり、他社製の組み合わせは動かないことがあります。

車のシガーソケットとの使い分け

車があるなら、シガーソケットからスマホを充電できます。手軽ですが注意点があります。

  • エンジンをかけ続けるのでガソリンを消費します。給油できない状況では、車は移動手段としても貴重です。
  • 雪や土砂でマフラーがふさがると排気が車内に逆流し、一酸化炭素中毒の危険があります。これは発電機と同じ理屈です。
  • 取り出せるのは基本的にUSB程度の電力で、家電は動きません。

スマホ数台なら車で十分です。扇風機・電気毛布・冷蔵庫まで含めて数日回すならポータブル電源、という切り分けになります。

買ったあとにやっておくこと

  • 半年に1回は充電する。長期保管で放電しきると電池を傷めます。
  • 一度使ってみる。災害時に初めて箱を開けると、ケーブルが足りない・端子が合わないに気づけません。
  • 置き場所を家族全員が知っていること。持ち出せる重さかどうかも確認を(1000Wh級で10kg前後あります)。

あわせて確認

お住まいの地域の停電状況と復旧見込みはトップページの住所検索から、送配電会社の公式発表を確認できます。停電中のスマホの節電と情報確保については停電中のスマホ充電と情報確保にまとめています。

参考: 経済産業省「停電時の発電機によるCO中毒や、復旧後の通電火災に注意」消費者庁 同注意喚起東京都「発電機・木炭等による一酸化炭素中毒の危険性」。容量ごとの使用時間は消費電力からの計算による目安で、機器や使用状況により変わります。